今日も一日が終わる。

朝一番に、未だに寒い寒いと言う夫の為にエアコンと、
ホットカーペットのスイッチを入れる。

起きるのは6時45分と決めているので、時間までまたベッドで
うとうとする。

夫は一人で起きて、テレビを見たり囲碁の本を見たりしている。

7時過ぎに朝ご飯。
以前はパンが主だったのに、今は夫の希望でご飯に納豆、味噌汁
の和食。

ご飯が終わると夫はベッドに。
私は、食事の片付け、洗濯、掃除、ゴミだしをする。
8時半頃夫が歯磨きをするので、薬を飲ませる。
朝は一番たくさん（5種類）薬をのむ。
1つ1つ出して、口に入れるところまでする。
入れ歯も洗う。（左手がほとんど使えないので私がする）

その後9時過ぎに着替えをする。
左半身が痺れているので、消炎剤を左肩から腕にかけて塗り、
右も肩に塗る。
左足にも塗る。
夫は人形の様にじっとしてるだけ。

昼までは、一緒に買い物に行ったり、私が一人で行ったり、
歩きに行ったりいろいろ。

昼からは、夫はテレビを見たり、眠ったり。
私も好きなことをしたり、犬の散歩に行ったり。

夕飯が早いので、4時半には支度を始める。

夕飯が終わると入浴。
一人で入れないので一緒に入り、身体を洗う。

パジャマを着せる時も、消炎剤を朝と同じように塗る。

顔にクリームを塗って一日が終わる。

夫は7時過ぎにベッドに入り、10時頃トイレに起きるので
連れて行く。

トイレは一人で行くこともあるが、大抵は私が付いて行く。

夫が休んでから、私はテレビを見たり、ミシンで孫の服
を縫ったり、PCをしたりする。

自分の時間はあるが、出かけることは買い物ぐらいだ。
夫を一人に出来ない。

娘の金沢行きが確実だ。

婿さんが15、16と実家に帰り、話をしてきたようだ。

どうしよう。
夫も、私も娘の子供にどれだけ癒されてきたことか。

束の間でも現実を忘れることができたのに・・・。

でも仕方ない。
娘達の為だもの。

早ければ、9月頃には向こうに行くかも知れない。

泣いてはいけないと思っても、涙が勝手に出てくる。

最近、夫が寝てからケーブルテレビの、「オリコン演歌トップ20」
と言う番組を観ている。

週ごとに順位が変わる。
ベスト3はあまり変わらないが、その他は上がったり下がったり
結構変動が激しい。

その中で、歌いたいと思う曲を一生懸命覚えている。
私の声は、演歌向きでは無いが、歌うのは好きだ。

歌えそうな曲
「置手紙」「吾亦紅」「紅花の宿」

覚えたって何になるんだろう。
カラオケになんか、行ける筈もないのに・・・。

今日は犬の散歩にいった、田んぼの真中で「置手紙」を
歌ってきた。

犬が怪訝な顔をしてたけど・・。

12日にCTを撮り、今日結果を聞きに行った。

特に変わりはないとの事。
今飲んでいる抗がん剤の効果が出ていると言う事だ。

ただ胸に水が少し溜まっていると言われたが、特に
今、治療をするほどではないから様子を見るとの事。

結果については一安心だが、身体の機能は確実に衰えている。

一人で歩くのも、トイレに行くのもやっとの状態なのだ。
一人でトイレに行って、向きが上手く替えられなくて
座り込んでしまうことがある。

今日もトイレで座り込んで動けなくなった。
起こそうにも私の力では、動かない。
仕方ないので、手をひっぱり、トイレから引きずりだして、
広いところで何とか起きてもらった。

金曜日にリハビリがあるので、今度は嫌だと言っても連れて行こう。
私も、座り込んだ時の起こし方を教えてもらいたい。
きっと何かコツがあるはずだ。

私が腰を痛めたりして動けなくなったら、どうしようもなくなる。

娘達が、今年中に婿さんの実家のある金沢に引越すかも
知れないと言う。

今まで毎週のように遊びに来ていたのが、年に数回しか
会えなくなるかも知れないのだ。

孫に会えないなんて考えただけでも寂しい。
金沢に住むことは娘達にとってはベストかもしれない。
今の生活は、とても無理があるからだ。

近くに住んでいる長男だって、2〜3年すれば海外勤務に
なるかもしれない。

二男は山口だし。
みんな居なくなるなんて。

夫が元気なら、いつでも会いにいけるけど、今は遠出する
ことも出来ない。

考えただけでも涙が出てくる。

息子が車を買うときに、夫の兄に口添えしてもらった。
義兄は、元愛知トヨタに勤めていたので、顔が利く。

おかげで、良い車を買うことが出来た。
そのお礼を兼ねて、新車に乗って義兄のところに行く。

息子一家と私達の総勢7人で出かけた。
さすが大きい車だ。

息子の子（5歳）は義兄になついて後を付いて廻っている。
夫が元気な頃でも、そんなに付いて歩くことは無かったような
気がする。

義兄は穏やかで優しい。
同じ兄弟で、どうしてこんなに違うのだろうか。

義兄の所に行くと必ず行くのが「ジャンボ海老フライ」のお店。
息子の目的の中にもそれがあった。

なんと30センチはあろうかと言う海老フライ。

何時も少食な夫も、今日は海老フライ、サラダ、刺身、味噌汁
デザートと、ご飯以外は全部平らげた。

それにしてもあの海老、太さも凄い。
魚屋でもお目にかかったことは無い大きさだ。

今日は朝から雨。
3回目の干支の道ウォークの日だ。

雨天延期、少雨も延期と案内にあったので今日は無いだろうと
思っていたら、実施するとの事。

その連絡の少し前に、娘から「子供が具合が悪いから今日は
行けない」と連絡があったばかり。

頼みの綱の娘がダメなら、諦めるより仕方ない。
今、夫を長時間一人にしておくことは出来ないから。

しかし、心残り。
今回の道は一番歩きたかった道だからだ。
夫と歩いたが、途中でどうにも道が判らなくて断念した所だからだ。

まぁ、世の中そんなものかな。

朝夫に「今日はリハビリの日だよ」と言うと
「今日は止める」という。

仕方ないので、病院にTELをして、予約のキャンセル
をした。

10時頃に「歩きに行きたい」というので「リハビリ止めたのに？」
「行っても何の効果もない」
そう言われればそうかも知れないが、動かなければますます
動けなくなる。

芝生広場に行く。
平日はだれも居ない。
最初は重い足取りも、歩くにつれ動けるようになってきた。

足のもつれも今日はあまり感じない。

帰りに農協に寄り、スナックエンドウを買う。
店で買うととても高いが、農協では100円で買える。

明日娘が来るので、持たせてあげよう。
最近よく農協で野菜を買う。
お米も会員になってしまった。

よく食べる豆類も此処では安い。

なんて、経済観念のあまり無い私が言うのもおかしいけど。

今まで出来ていたことが、出来なくなる。
そんな現実が夫の中に起きている。

今日もいい天気なので夫に「芝生広場に歩きに行く？」
と聞いてみた。
「行かない」
「どうして？いい天気だよ」
「行っても歩けん」

今、唯一の楽しみは、囲碁に行くこと。
第二と第四の木曜日なのだが、曜日の感覚があまり無いので
今日だと思っていたらしい。

「囲碁は今日じゃないよ。明日だよ」
というと、ガッカリしたように「何だ、今日じゃないのか」

入浴も、かけ湯をして浴槽に入り、身体を洗ったらまた浴槽に
入ってゆっくりしていたのに、この頃は洗ったらシャワーで
流してそのまま温まりもせず、上がってしまう。
一度目は浴槽に入れても、二度目は出来ないという。

身体を洗うのも、私は背中を洗う位だったのが、この頃は
自分で洗うのは顔位で、後は私任せだ。
自分で拭くことも出来ない。

なんだかとても悲しいよ。

今日は久しぶりに家族全員が揃ったので、家族写真を
撮りに出かけた。

一昨年の12月に全員で撮ったけれど、その後昨年孫が
3人産まれたので、新しく撮ろうと言うことになった。

総勢15人の大所帯だが、写真屋の巧みな話術で場を
和ませてくれ、皆笑顔のいい写真が撮れた。
仕上がりが楽しみだ。

もう、家族全員で撮る写真もこれが最後かも知れない。

今日は息子達が、車椅子に乗せたり、車に乗せたりと
夫の面倒を見てくれたので、助かった。

最近、足腰が弱くなって外出から帰ると、足がふら付いて
車庫から、玄関まで歩くのが大変だ。
そのうち家の中でも、車椅子を使わなければいけなく
なるのだろうか。

孫達が帰って、嵐の後のような部屋を片付けていたら
何故か、涙が溢れて仕方なかった。

まだ5月だというのに暑い。

子供たちは半袖で飛び回っている。
夫はと言うと、寒くて仕方ないという。

夜、布団が暑いから、毛布だけにしてくれと言うので
変えたら、今度は寒くてエアコンの暖房をつけている。

困るのは、自分の感覚が普通だと思っているところ。

暖房なんか付けられたら、私は暑くて寝られない。

でも、部屋の温度と、暖房の設定温度があまり変わらない
ので、そんなに暑くは無いが、果たして暖房をつける意味
が有るのだろうか。

夫に言っても仕方ないので黙っているが・・・

五月になった。

新緑が目にまぶしい。
一口に緑といってもほんとに色々な緑である。

躍動感溢れる五月。
まさに鯉のぼりそのもの？

巷はゴールデンウィーク真っ盛りだけど、老夫婦にはあまり
関係が無い。

夫が歩きに行きたいというので、いつもの芝生広場にいく。
長期連休に入っている事業も有るので、混んでいるかと思ったが
駐車場は1台も無し。
広場にもだれも居ない。
ウグイスが上手になった鳴き声を聞かせてくれている。

今日は私をつかむ手に何時もより力が入っているように感じた。

いつもの様に休み休み歩き、もう帰ろうと駐車場の近くまで
来たら、足がもつれる。

車に乗るにも足が上がらない。
何とか車に乗せて家まで帰ってきたが、降りる時も一苦労。

体力が目にみえて衰えてきている。

昨日、息子とその息子（5歳）が泊まりに来た。

今日帰るときに、孫が夫の側に行き「じいじ、早く病気が
治るといいね」と言った。
「おお、じいじも頑張るね」

門のところまで見送りに出た私に「ばあば、じいじはどうして
病気になっちゃったの？」と聞いた。
「どうしてだろうね。ばあばもよく判らないんだよ」

後で夫に話すと「今度聞いてきたら、ばあばがイジメたから
と言ってやろ」

そりゃどうもすいませんね。

子供心に心配してくれているのだ。
この子は元気な時のじいじを覚えているのだろう。

一昨日から喉がイガイガして、嫌な感じだったのが、
昨日になって、声がガラガラ。
喉は相変わらず痛い。
痰が絡み切れるまで咳が出る。
今日になって、鼻水。クシャミが止まらない。

熱は無いので、市販の風邪薬を飲んでいるが、あまり効き目は
無い。

いつも風邪をひくと、一通りの過程を踏まないと完治しない。
今回も今日あたりがヤマのようだ。

今回は娘達に貰ってしまった。
もっといいものくれればいいのに・・・

夫に移らなければいいのだが。

さっき熱を測ったら、37．3度
ウ〜ン、微妙。

最近はトイレでの、パンツの上げ下げも私が手伝わないと
出来ない。

今日、パンツが汚れているのに気が付いた。
よく見ると○ン○ンの裏側が赤くなってただれたように
なっている。
「こんなになってるけど、痛く無いの？」
「痛くない」

病院に行った方がいいけど、今日はリハビリが入っているので
月曜に、いつも行く病院の皮膚科？泌尿器科？にいくことに
した。

リハビリから帰って、3時過ぎた頃に「やっぱり、今日行きたい」
というので、午後からでも診察してくれる病院を捜す。

丁度、皮膚科と泌尿器科の両方診察してくれる病院があったので
そこにTELをして、4時からの診察に行った。

先生にはお薬手帳を見せて、夫の病気の状態を理解してもらう。

原因はなんだかわからないが、抗生剤を患部に塗るように言われた。

今、飲んでいる抗がん剤の副作用か？
飲み始めてから色々皮膚にトラブルがある。
爪の変色、ニキビのような吹き出物、皮膚がカサカサになる、
顔が赤黒く、いつもお酒をのんでいるみたい。

仕方ないよな。
その薬のおかげで、現状維持が出来ているのだから。

それにしても、あんなに赤くなっていても痛くないなんて。

朝、夫の方が早く起きることが多い。

今朝も私が気づいた時には、居間にいた。
夫は寒がりなので（病気になってから）ホットカーペット、
炬燵、エアコンとスイッチを入れる。

なにやら私を呼ぶのでいってみると、炬燵のスイッチを入れる
事が出来ないらしい。

「もう、こう言うことは俺にやらせるな」
私は一言だって頼んでないのに、どうしてこいう言い方に
なるのだろう。

私が寝てるなら「スイッチ入れてきて」といえば良い事なのに。

いちいち言い方が引っかかるのは、私の僻みだろうか？

天気がいいのでいつもの芝生広場に歩きに連れて行く。

平日は誰も居ないので、人に気兼ねすることなく歩ける。
距離にして300M位だろうか。
所々に置いてあるベンチで休みながら、ゆっくり歩く。

木々の緑がまぶしい位だ。
野鳥の鳴く声も聞こえる。
ウグイスも森中に響けとばかり鳴いている。

芝生広場から駐車場まで30Mくらいだが、そのあたりから
夫の足取りがおかしい。
フラフラともつれるようになってきた。
「どうしたの？えらい？」と聞いたら
「なんでもない、勝手に決め付けんで」と言う。
むかついたので「人が心配してるのに、そういう言い方しか
出来ないの？」と言ってしまった。

元々、人の言うことなど素直に聞く人ではないが。

土曜日に娘に来て貰ったが、娘も「可愛げのない爺ちゃんだ」
とぼやいていた。

今日は2回目の干支の道ウォーク。

昨日から娘にきて貰い、朝早起きして、自分の弁当と夫と娘達の
弁当を作る。

9時に集合なので、8時半に家を出て10分前に駐車場に着いた。
皆さん早い。

昨日までの雨で山道が滑るのではと心配したが、落ち葉が適当に
濡れて、思ったより歩きやすかった。

今日は山道が半分、舗装道路歩きが半分。
新緑が気持ちいい、
今日の道は、夫が元気な頃に一度歩いているので、ちょっと余裕。

昼食を終えて、車座になり自己紹介をした。
年齢はやはり中高年が多い。

昼食時に娘にメールを送り、様子を聞く。
娘には気を使うのか、あまり部屋から出てこず、娘が手伝おうと
しても良いと言うらしい。

今日のコースは7キロなのでゆっくりと説明を聞きながら歩いても
2時半には駐車場に戻れた。

後3回あるが、全部参加できるかなぁ。
娘に世話をかけるのも悪いし。
夫は一人にして置けないし。
このチャンスは今しか無さそうだし。

明日は、2回目の干支の道ウォークがあるので、今日娘に来て貰う
ことにしているが、2時過ぎに「今から出る」とメールが来た。

娘が来てから、買い物に行っていては遅くなると、買い物好きの
孫には悪いが、先に一人で出かけた。

お八つに花見団子でもと和菓子のコーナーで物色していたら
「ブタコさん」と声を掛けられた。
「車見かけたから、いると思って」
久しぶりに会う友達だ。
いつも元気でハツラツとしている。

「どう？ご主人」
「元気だよ。」
「そう、良かったね。ご主人も頑張るね〜」
それから30分以上も店の中で立ち話。

彼女も自然観察とか山歩きなどに興味があるので、そんな話で
盛り上がる。

別れる時「また何処か一緒に行けるといいね」と彼女が言った。
複雑な気持ちで「そうだね」と答えた私。

夫が耳が聞こえにくいというので耳鼻科に連れて行く。
11時の予約だったが、既に10分遅れの表示が出ていた。

聴力検査や診察などで、終わったのが12時半過ぎ。
特に今までと変わりがないと言われた。

確かに耳は聞こえにくい。
テレビの音量は39〜40位だから、夫が寝てから一人で
テレビのスィッチを入れると、びっくりしてしまう。

家に帰って昼食をとり、疲れたからと夫がベッドで休むというので、
私は近くのJAに出かける。

今日は火曜市のある日だ。

今日の目的は土筆。
春になるとよく土筆を取りに出かけたが、夫が病気になってからは
それも出来なくなった。

土筆を買うなんてと思うが、一袋100円なら安い。

土筆を取りに行ってたころは、人の畑の土手などで人目を気にしな
がら取っていたので、100円で買えるなら気分的に楽だ。

二袋買い、夜一人でハカマを取った。
これがかなりの仕事だ。
指先が真っ黒になる。

フライパンで炒めて、甘辛く味付けする。
娘が大好きなので、冷凍しておこう。

土筆は春の味だ。
今しか食べられない。