夫の病気　（3）

肺がんが見つかって、3月に抗がん剤の治療が始まった。
3週間入院しあとは通院で週に1度の抗がん剤を3回
1週間休んでまた3回のパターンを6月まで続けた。
副作用で髪の毛が抜けると聞いた夫は、入院する前に
サッパリと坊主頭にしてきた。

7月には先生の許可を貰い、北海道の道東方面に出かけた。
名古屋からフェリーに乗り苫小牧へ。
襟裳岬〜帯広〜霧多布〜釧路〜知床〜網走〜屈斜路湖〜阿寒湖〜
層雲峡〜旭川〜富良野〜苫小牧を3週間かけて回ってきた。
泊まりは全てオートキャンプ場。

この頃はまだ普通の道なら歩けたが、目が悪く物が二重に
見えるので、段差のある山道は危なくて歩けない。
層雲峡でロープウェイに乗り、黒岳の登山口まで行ったが
あとは山の上の方を残念そうに見つめるだけだった。

運転は片目にすれば出来るので、旅行中は三分の一は夫、
あとは私が運転した。
あまりに快適な道のため、夫がスピード違反でつかまるという
おまけまであった。

9月に入り再発、また違う抗がん剤の治療が始まった。
脳の方はガンマが効いているのか、落ち着いてる。

12月に脳に新しく腫瘍が見つかり放射線を全脳照射した。
今年に入って左手が小刻みに震えだし、歩行も杖がないと
歩けなくなってきた。

3月に先生の勧めもあって介護の認定を受け、身障者の認定も
受けた。

5月からは飲む抗がん剤に変わり、自宅で療養している。
飲む抗がん剤は身体に合ったのかとても元気だ。

有り難いのは苦しいとか気持ち悪いとか、頭が痛いと言う
事を言わないことだ。
我慢しているとかではなくてほんとにそうらしい。

気持ちも前向きで、強い人だと思う。

夫に余命のことは話してないが病気のことは知っている。
先生に根治はないと言われたのも聞いている。
余命ももうクリアした。今の調子なら大丈夫だ。

これがブタコの夫の病気の経緯。